男性ベビーシッター逮捕の事件がきっかけの安全対策から考える男性差別問題
男性ベビーシッターが立て続けに事件を起こし逮捕されると、利用者の橋渡しを行ったキッズラインは責任を問われて安全対策を発表しています。
また、キッズラインだけでなくベビーシッターを派遣する他企業でも誤解されないように、安全性を具体的に発表しています。
きちんと教育を受けて派遣しているなど企業によっても対応は様々なようですが、安全ということを証明しなければ利用者の不安がぬぐえない事態となっています。
事件に関係していると言われているキッズラインでの安全対策は安心してサービスが利用できるよう匿名でサポートセンターに連絡できる報告フォームの導入などを取り組むと発表しています。
しかし、安全対策発表の前に男性シッターの活動を一時停止しています。
この男性シッターの活動停止措置ついて批判が相次いでいます。
今回は男性ベビーシッターに対してとられた措置についてみていきます。
キッズラインが発表した最初の安全対策
2020年6月4日14時より男性シッターの新規予約受付を一時停止すると発表しました。
これはベビーシッターとしての新規登録を一時停止ではなく、活動自体停止するというものです。
子どもを巻き込む犯罪は男性によって発生する割合が多く、専門家からも小児性愛者であるかどうか見抜くことは難しいとの見解があったため、男性ベビーシッターの活動を一時停止したといいます。
確かに、法務省の「犯罪白書」(平成27年度版)によれば、性犯罪で有罪判決を受け、懲役刑になった受刑者の男性割合は99.8%、女性は0.2%と発表されています。
また、子どもを巻き込む犯罪防止のためにデータベースを共有したり、より安全なサービスが提供できるように男性ベビーシッターの活動再開に向けて取り組んでいくとキッズラインでは発表しました。
男女平等社会はどこへ
「保母さん」と昔は呼ばれていた保育士。
しかし、女性保育士ばかりではなく男性保育士も活躍しているということで「保母さん」は男女差別にあたるとして「保育士さん」と呼ばれるようになりました。
まだ数は少ないですが、男性保育士も年々増えてきているのは事実で、1995年から2010年の間で1万人近く増えていることが国勢調査でわかっています。
子どもが好き、子どもの成長に携わりたい保育士は女性だけでなく男性も感じるものです。
保育士資格を取得する男性が増え、ベビーシッターとしても男性が増え始めています。
しかし、私がベビーシッターを提供する企業へ説明会に行った時のこと。
担当者から「ベビーシッターは女性でないと務まらない。男性を家庭にあげたいと思わない」という発言をされました。
説明を受けているのは全員女性ということもあり、その場で批判は起こりませんでした。
しかし、男性にしかない魅力があるのも事実です。
キッズラインでは男性ベビーシッターも活躍しており、インタビュー記事が掲載されていたことがあります。
私の記憶だと月30万円ほど稼いでいたような…。
男性でも大活躍できるというインタビュー記事であり、男女平等にベビーシッターとして働くことができるというものでした。
キッズラインは男性も女性も平等に働ける社会を目指していることがわかり、世間にアピールしているようにも捉えることができました。
しかし、事件を機に一転。
男性ベビーシッターの活動は停止されたのでインタビュー記事も現在は削除されています。
男性は犯罪を起こすかもしれないという見解の元、男性は活動できなくなってしまいました。
事件を起こしたのは男性です。
データからも男性が犯罪を起こす可能性があるということが示されています。
しかし、女性は犯罪を起こさないのでしょうか。
男性の活動を停止させたところで事は解決するのでしょうか。
今回、キッズラインは男性ベビーシッターに対して経済的補填を行うという方針を示しているようですが、経済的補填では補えない仕打ちのようにも捉えることができてしまいます。
男性保育士・男性ベビーシッターのよいところ
このままでは男性保育士や男性ベビーシッターが男女差別にあい、保育士やベビーシッターをやめてしまうかもしれません。
しかし、男性ならではの魅力があります。
①スポーツ遊び
子どもは外で遊ぶのが大好きです。
おいかけっこ、サッカー、キャッチボール…。
体力のある男性やスポーツが得意であれば、子どもも大喜びです。
子どもが楽しんでくれると保護者も喜んでくれます。
「また頼みたい」という保護者もいれば男性ベビーシッターが活躍を続けるきっかけともなります。
②防犯
近くに不審者がいたとしましょう。
体力のある男性であればすぐに子どもを抱っこして逃げることもできます。
子どもを守ってくれるという安心感から男性保育士・男性ベビーシッターが活躍することができます。
③お父さんっ子
お母さんとはなかなか相性が合わないのに、お父さんと相性が合う子どももいます。
同じように女性保育士や女性ベビーシッターとは全然相性が合わないのに、男性保育士や男性ベビーシッターと相性が合う子どももいます。
そういう子どもと巡り合えた時、「この仕事をしていてよかったな」と思うものです。
④父親が関わりやすい
子どものお迎えは必ずしも母親がくるとは限りません。
父親がきた場合、同性である男性保育士・男性ベビーシッターがいれば話しやすい環境になります。
相談にものってもらいやすいかもしれません。
⑤トイレサポート
男の子のトイレサポートで「ちょっと恥ずかしいから外で待ってて」と言われる女性ベビーシッターもしばしば…。
しかし、男性であれば同じ男性だからということで気を許しやすくなり、傍でトイレサポートを行うことができます。
(小児性愛者であれば少し危険ではありますが…)
一刻も早く男性が活躍できるような保育業界になってほしいと思います。